1970年代生まれの外資系IT企業エンジニア(関西在住))です。
様々な人々の叡智からの学びを通して、経済的独立の実現を目指します。
日々の思考の糧となる書籍を紹介します。


「帝国軍人 公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる 」戸高 一成 (著), 大木 毅 (著)

呉の大和ミュージアム艦長の戸高氏と昨年(2019年)評判の高かった岩波新書独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」 の著者である大木氏の対談集。

 

私よりも約10年年長の世代は、先の大戦の当事者達に直接話を聞ける最後の世代と言える。1980年代には戦争中の士官クラスがまだ元気で、先の戦争についても落ち着いて振り返ることができるようになった時代になり、当時若手だった戸高氏と大木氏が当時の様々なエピソードを振り返りながら帝国軍人について語り合っている。

この本で初めて知る事実も多く、先の大戦についてはまだまだ勉強不足であることを実感する。

 

特に、陸海空の自衛隊の中で、「我々は旧軍の後継者である」という自覚を、海上自衛隊が持っていることは初めて知った。大日本帝国海軍は戦後解体されたと理解していたのだが、実際は、第二復員省として海軍の組織は維持され、かつ外地からの復員業務で旧軍の艦船でオペレーションを継続し、また、機雷掃討作業で長きにわたり組織運営が維持され、保安庁を経て海上自衛隊になったこと、将官・士官達も戦後海上自衛隊で武官として任務を継続していたことなどは初めて知った事実である。現在の自衛隊は旧日本軍とは独立の組織だと思っていたのだが、海上自衛隊に関してはそうではなかったのだ。また、それは海上自衛隊旗が旧海軍の旭日旗を継続使用していることからも明らかである。なお、継続使用を承認したのは吉田茂であると本書の中で述べられている。

 

また、ミッドウェイ海戦についても、「滄海(うみ)よ眠れ」(澤地久枝著)が、海軍側が隠そうとしているミッドウェイ海戦現場での捕虜虐待についても初めて知った。この本の電子化を望みます。

 

他にも、源田実についても批判的な部分もあり、この部分はもっと知りたい。何かと英雄的に扱われ、戦後国会議員になっている源田実氏だが、特攻に肯定的であったとか、台湾航空戦についても、それを批判する情報を握りつぶしたりいたらしい。

 

 

帝国軍人 公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる (角川新書) [ 戸高 一成 ]

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