「上級国民/下級国民」(橘玲著) 日本社会の身分制度について考えてみた
橘玲 氏の新刊「上級国民/下級国民」を早速キンドルで読んでみた。
日本だけでなくアメリカや欧米諸国で格差が広がっていることをまとめた本だ。
マスコミで流布しているものとは異なる視点だが、国内外の研究が広く引用されており、客観性も高い。それゆえに、語られるメッセージの一つ一つが絶望的な気分にさせられるものも少なくない。
平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる以外にありません。
その結果、
この持久戦に耐え抜けば「下級国民」があふれるより貧乏くさい社会が待っており、失敗すれば日本人の多くが難民化する「国家破産」の世界がやってくる。
だったら、どうしたらいいのか・・・。答えは自ら考えて見出していかなければならないのだ。
日本社会は身分社会!?
橘氏が繰り返し述べていることとして、日本社会の隠れた闇があります。その筆頭は実は日本は依然として「身分社会」であるということでしょう。
これまでさまざまなところで繰り返し述べてきましたが、私は、日本的雇用の本質は「重層的な差別」であると考えています。なぜなら、日本という社会が、先進国のふりをした身分制社会だからです。そのためこの国では、あらゆるところに「身分」が顔を出します。
私は社会人になるまで日本では身分社会はすでになくなったものだと思っていました。実はそうではないようです。実際、私の会社でも、親会社・子会社という身分が存在し、同一労働に対して異なる賃金や特権が明確に存在します。数年前に私も子会社に転籍を求められ、その子会社の事業部長に対して、
「労働内容や職位の基準となるスキル基準は同一にもかかわらず、どうして親会社と子会社で賃金と待遇が異なるのか?これは今後是正されないのか?」
と問うたことがありますが、その答えは、
「不公平はなくならない。会社が違うのだから待遇も給与も異なる。」
とのことでした。子会社とは明らかに待遇や給与に差別をつけるために作った現代の身分制度だとマネジメントが認めたタイミングです。とても絶望的な気分になりました。
私は自分の子供たちのためにも、このような非合理な前時代的な制度が暗黙的に残る日本を変えていかなければならないと思っています。
価格:885円 |
橘氏のあとがきが公開されているのでリンクを貼っておきます。
NEWSポストセブンにも橘氏が寄稿していました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190803-00000012-pseven-bus_all&p=1