シンガポールで経験した哲学の意外な人気
哲学に関心をもち続ける事に少しだけ勇気を得る事ができた話です。
哲学って、日本で仕事をしていると本当に必要性を感じることのない、むしろ関心を持っていること自体が時間の無駄に思われ、変に哲学の話をすると周囲から変人扱いされるため、自分の内奥の奥底にとどめて置くしかないものに思ってました。
しかし、実際はそうではなく、むしろグローバルで活躍する人々の中で、意外と関心が高いのだと気がついた話です。
これは、私が20年近く昔に半年ほどシンガポールにいた時の話です。
当時は仕事で短期赴任する外国人のためのビジネス・アパートに滞在しており、そのビジネス・アパートの休憩室に、滞在者が自分の読んだ本を自由に寄付しても良い本棚があり、私も滞在の間にその本棚から本を借りたり、あるいは寄付したりする中で気づいた事があります。
その本棚に置いていくと、すぐに他の滞在者に読まれていくために本棚から消えていく本と、あまり利用されない本の間にある傾向がありました。
本棚にいつまでも残り続ける本は、わかりやすいハウツー系のビジネス書や自己啓発系の本です。
一方、意外だったのは、誰も興味がないだろうと私自身が思っているような哲学や思想系の本が、本棚に置くと数時間のうちに本棚から消えている事が多かったのです。
特に、私が置いた本で、以下の本は、きっと誰も読まないだろうと、半ば確信を持っていたにも関わらず、速攻で消えていきました。
- Introducing Wittgenstein (Beginners S) (John M. Heaton 他、著)
- 「聴く」ことの力: 臨床哲学試論 (鷲田 清一 著)
Wittgensteinは「論理哲学論考」で著名で20世紀の哲学に大きな影響を残した哲学者ですが、日本では哲学好きな人びとにくらいしか知られていないマイナーな存在に思いますが、この人に関して書いた本が、たとえペーパーバックの入門書とはいえ、すぐに手に取るような人がそのアパートに住んでいた事に驚きました。
もう一つの鷲田清一さんも現象学という20世紀の哲学の一つの領域で著名な高名な哲学研究者ですが、この本に興味を持つ日本人がシンガポールの高級ビジネス・アパートに滞在していたようです。
哲学に関する書物が意外とすぐに本棚からなくなるところから想像するに、このような高級ビジネス・アパートに滞在する人々は、日常のビジネス空間の俗世間的な世界から超越した思考の領域への関心を持ちづけている人もいるという事です。
私の日常生活の中でのビジネスの世界ではこのような領域に関する関心や話題が全くないので、驚きも驚きでした。
しかし、 最近ではコンサルタントの中でも哲学を取り上げる山口周さんのような人も現れており、どうやら哲学に関心をもちづける人々は実業界でも一定人数はいるようですね。
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