1970年代生まれの外資系IT企業エンジニア(関西在住))です。
様々な人々の叡智からの学びを通して、経済的独立の実現を目指します。
日々の思考の糧となる書籍を紹介します。


鈴木 敏夫「禅とジブリ」

禅とジブリの組み合わせの意外感に釣られて買ってしまった。

 

鈴木敏夫は元アニメージュの編集長で長年ジブリで宮崎映画のプロデューサーで、ジブリファンならお馴染みであろう。NHKプロフェッショナルにも出演していたし、岩波新書で「仕事道楽」という宮崎・高畑との仕事について語った本でも有名だ。私も「仕事道楽」は、自分自身の仕事に悩んでいた時に読んで、全く参考にならないくらい仕事を楽しんでいる鈴木敏夫に激しく羨望したことがある。もっとも、羨望したところで何も変わらず、理不尽な現実の仕事の辛さが減るわけでも、また氏の本で気分が楽になることもなかった。宮崎や高畑の強烈な個性に、ただ圧倒されただけだった。

 

禅の有名な言葉に、「日々是好日」という言葉がある。毎日が良い日となるよう努めるべきだと述べているとする解釈や、さらに進んで、そもそも日々について良し悪しを考え一喜一憂することが誤りであり常に今この時が大切なのだ、あるいは、あるがままを良しとして受け入れるのだ、と述べているなどとする解釈がなされている。(日日是好日 - Wikipedia)

 

本書を通じて、宮崎駿は過去を忘れて、それゆえに常に新人のように新作に苦しみながら(?)作品を作っていくことが鈴木氏に述べられており、まさに、禅の「今ここに生きる」を体現していると対談相手の禅僧からも指摘されている。

 

振り返ると、自分は常に過去の辛かった事にこだわったり、その経験を元に色々と周囲に注文をして、それがその過去を知らない人々からは単なるクレームと受け止められて面倒な、そして心理的には辛いことも多かったと思う。結果として、それで苦労してきた部分もある。

 

今思うと、過去に縛られては本当にいけないのだなあと思う。このような態度は禅に限らず、「メンタルが強い人がやめた13の習慣」(エイミー・モーリン)と言った最近の心理カウンセリング本にも「07「過去を引きずる習慣」をやめる」べきと指摘されているので、現代では広く知られている生きるヒントのようなものであろう。しかし、中々実践できない自分がいるのであるが・・・。