「ザ・ゴール」(エリヤフ・ゴールドラット著)と日本の未来
この国で今最もホットなテーマだと私が感じているのは、ズバリ、
生産性の向上
に尽きる。
「ザ・ゴール」はこの生産性向上のバイブルとも言える本である。
ベースになっている考え方は、著者で物理学者でもあるゴールドラット博士の考案した
制約理論(Theory of Constraint: TOC)
である。
本書は30年以上前に発行されたが当時世界を席巻していた日本の製造業に知られることを防止するために17年間翻訳が許されなかったいわくつきの書籍である。
私も2005年に読んでみたのだが、学ぶところは非常に多い。
しかしながら、意外と日本の製造業の人々でこの本を読んでいる人はごく一部だというのが私の20年間の製造業へのコンサルタント経験からの実感である。
特に、2000年代はまだ日本の製造業もかつての黄金時代を経験していた世代もリーダー層に多く、正直、非効率そのものオペレーションを行なっていた。さらにITベンダーもコンサルも客に迎合しその非効率なオペレーションを褒め称えていたと言っても過言ではないだろう。
しかしながら、それらの非効率性は2008年のリーマンショックで潮目が大きく変わってしまい、日本の製造業、特に電機メーカーの凋落ぶりを引き起こす結果になった。
2020年を直前に迎えたいま、かつての非合理的なリーダー層は着実に減少し世代交代が進行している。今こそ、日本において合理的に生産性向上を実現することが可能になってきていると私は期待している。本書はそのための一つの道しるべだ。
ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か [ エリヤフ・M.ゴールドラット ] 価格:1,728円 |